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普段は秘密のお勧めの音楽を厳選して幾つか。これ、本当はあまり人には云いたくない。どうも愛しすぎていて…。
PENTANGLE British
Tradの伝説のユニット。folkとはいっても日本のともアメリカのものとも全然違う、さすがはUKのお洒落さと、テクニックを誇る。むしろケルト・ミュージックやアイリッシュの影響もあるのかも。演奏曲は古楽を素材にしたものが多い。二人のギターリスト、JOHN
RENBOURNと BERT JANSCHもタイプは違うけど素晴らしいギター弾きです。特にJOHN RENBOURNの強いタッチのギターテクは凄い。JIMMY
PAGEも彼らの影響を密かに受け継いでいるのは明白!アルバムでは初期の4枚は全てお勧めだけど、強いて一枚選ぶなら<BASKET OF LIGHT>で決まり。 ハリー・ポッターよろしく魔術好きにもお勧めです(この意味が解る貴方は偉い)。
PIERRE HENRY
テクノ界にその名を轟かす齢70をこえるフランスのおやっさん。当時の現代音楽が目指した電子音楽の中でももっとも今の音響クラブ系に近い音を生み出したその感性はすごい。近年再評価されてる人です。お勧めはこれ、<現代のためのミサ/ピエール・アンリ・コレクション> 60年代にモーリス・ベジャール舞踊団の為にバレエ音楽として、書きおろした作品だけど、これで踊る連中もかっこいい…。90年代中盤の東京のクラブでは、このトラックでバレエの人ではなくてワカモノが踊ってたけど‥(笑)
こちらは正規盤のファースト
LOUNGE LIZARDS 今でも活動してますが、t.saxのJOHN
LURIEは JIM JARMUSCH の映画『Stranger Than Paradise』などに出演している俳優。80年代、これを聴くのはかなーりいけてた‥。僕のお勧めは最初期のメンバーのアルバムだけど、正規のスタジオ盤ではなく、ブートのライブ音源。79年くらいのものですがほとんどお目にかかりません‥。スタジオ盤も良いけど、このライブ・テイクを聴けば彼らの何たるかが、必ず理解できます!ARTO
LINDSAYは当時からかっこよすぎ!メンバーチェンジした80年代後半頃のアルバムは簡単に入手できるけど僕はお勧めしません‥。このあたりのNYアンダーグランドの人脈は今流行りのジャム・バンドに流れている模様。ちなみに僕自身の好きな演奏スタイルも、この手のfree
improが大好き。
KRAFTWERK いわずと知れたピコピコ・テクノのドン。しかし僕のお勧めはピコピコ・クラフトワークではあーりません。彼らは大学時代ドイツの電子音楽の巨匠KARLHEINZ STOCKHAUZSENSに師事してた経歴をもつだけあって、その音楽の構成力や演奏力は近年のジャンク・テクノの人々と違い、かなーり確かなものです。その感じが一番あらわれてるのが最初期の生クラフトワーク。正規盤では1枚目が私は好きだけどお勧めはやはり初期のブート音源、<FRUHWERKE>.パーカッションのかっちょいいTONE FROATやパンクな電子ロックという風合いのMILK ROCKなど収録。
っと、ここまでやけにマニア路線で来たところで全然マニアじゃないのをひとつ。
ERIC CLAPTON 12、3才の頃から聴いてるギター弾きだけど、むかーしはその偉大さがまっ〜〜たく理解出来なかった。この男は何が偉いンじゃい?と正直思ってましたね。日本の伝説の某女性singerのKさんと飲みながら話してる時、若気のいたりにも「クラプトンはなぁー…ちょっと」などと漏らしていた僕でした。しかし!!おやじな年令にさしかかったある日、日本の戦争の歴史に感性で触れたある日、この人を真から理解しました。所詮ガキには解らないお方だったという訳でしょうか…。人生の痛みや、人間のソウルの何かの所在に触れた時、この人の音楽は最高に効きます!この人がギターの神様と呼ばれた理由が、最近やっとわかった僕でした。最高にいかしたおやじです、このお方は。CLAPTONの変名、DEREK
AND THE DOMINOSの言わずと知れた名作、<Layla
and other assorted Love Songs>これ、発売当初全く売れなかったなんて信じられる??
NEW!
PAT MARTINO さて、ギター弾きが出ましたね。僕は一応本職がギター弾きですが、<勉強>した人の中で、技術的な意味の最も影響が強い人はこの人。jazz
guitarのイディオムは、概して黒人系と白人系に大別されます。これは主にフレーズの4beatに於けるタイム感、= 3連系で8分音符を弾くか、イーブンなタイムで弾くか、という部分と、two-fiveのコード進行での歌いまわしの部分の違いです。黒人系は3連系で、モロのbopフレーズなのに対して、白人系はイーブンなタイムで、かなり頭を捻った知的な音使いなのですね。P.MARTINOは、白人系jazz guitarのフレーズ上のイノヴェーターと言って良いでしょう。現在活躍するコンテンポラリーな白人jazz弾きで、この人の直接、間接の影響下に無い人は居ない!と言うべきですな。この事は何故かあまり語られないけれど…。そういう部分で僕が、直接影響を受けた人。この人の東洋思想的なfreejazzも良いけど、彼がやるふつ〜のスタンダートこそ絶品!凄い人って、あまり完成した凄いとこは見せず、全面にはいつも実験的部分を押し出すのが、真の良心的な音楽家の習性でしょうな‥。でも彼のアルバムの最後の方におまけの様にちょこっ、と挿入される、モロのスタンダートは本当に素晴らしい‥。これは72年頃のライブアルバム。その名も<Live!>
NEW!
JIM O'ROUKE では、もう一人ギター弾きを。言わずと知れた近年でもっとも革新的な音楽表現をするギター弾き。彼のは単なるギター弾き的スノビズムなどでは無い、もっと表現に対してコアなアプローチをする人なので、凄く通向きな人。系統で言うなら日本が誇る高柳昌行や、 DEREK BAILEYの流れにある人。しかし彼等との違いはpop musicに精通していること。これが彼特有の個性を醸している。この<EUREKA>はpopな側面を強調したヒット作だけど、よく聴くとその音の背後には<音響>的な前衛を含んでいるところが非常に粋で彼らしい。初期のfree
improモノも僕は好きだったりするけれど、一般リスナーの耳にはやはりこちらだろうね‥。しかしスタイルはどうあれ、ひどく内省的な彼の音世界の魅力は輝いている。tr.3『movie
on the way down』や、tr.7の『eureka』の様なjazz的なアプローチのストイックな音世界こそ彼の真骨頂ではないか‥。このタイトル曲は近年若手の日本映画のタイトルに援用されています。
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竹村延和 J.O'ROUKEと来るなら、やはりこの人に繋がるだろう‥。90年代以降の日本のサウンドクリエーターで世界のシーンへの影響度から最も重要な人物では無いだろうか。J.O'ROUKEも彼からの影響を挙げている。彼の音をSpiritual
Vibesの頃から知っているけど、最初に聴いた頃の、お洒落で軽い、ある意味稚拙な表現からは程遠い場所まで成長した人だと思う。chile's
viewのファーストあたりから、その真価を発揮し始めた彼。クリエート上の手法と感性でもっとも抜けている日本を代表する人だと思う。この人にいつも感じるのは、和的なスピリチュアリズムと、これはROBERT
WYATTの影響なのか共産主義的な感触‥。これがサンプラーベースの制作手法、テクノロジーと結びついて生まれたのが彼の音世界だと思う。このアルバムはISSEY
MIYAKEの2000年ミラノ・コレクションの為の書き下ろし作品<FINALE>。前作のコラボ<MILANO>よりもこっちの方が好きだなぁ。
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朝本浩文 日本のサウンド・クリエーターが登場したので、もう一人日本の人。UAなどのシゴトで云わずと知れたこの方。自身の音楽実験と娯楽の(?)ユニット、ram jam world。こういう職人技をお持ちの方のする自分の為の愉悦音楽は大変素晴らしいですね。'97年発表のこの<rough and ready>はdrum'n bassを主体としたクラブ・ミュージックでもわりとpopな路線。今ではもはや当たり前に成ってるtururururっという細切れのショットを多用したリズムワークがpopに定着し始めた初期の頃の音ですね。竹村氏とは別方面のpopの手法を開拓した人だと思う。前者がアマチュアリズムを追求して成功した人なら、この人はプロ意識に徹している職人という感じがします。参加してる人もスタジオの第一線の人達。tr1とtr8が個人的に好き。tr7はCULTURE CLUBのBOY GEORGEが参加しています。全体的に切れ味の良いスピード感のあるかっこいい音。
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MILTON NASCIMENTO っと来て話はいっきにブラジルへ(笑)。ブラジル音楽の良さは、popでありながら前衛、知的な音楽構造、あの民族
- ヨーロッパから遠く流れついた人々の積年の郷愁<saudade>の感覚に対する、ソウルフルな共鳴にありますね。CAETANOが知的でスタイリッシュなアプローチなのに対して、MILTONは魂の表現に徹しています。決してお洒落では無いし、かっこいい音でも無い。しかし、、、彼ほど魂を震わせる優しさに満ちた音を生み出す人は居ない。彼もある意味、musician's
musicianだけど、ブラジル人は、彼の初期の名作、『橋』を聴くとやはり泣くそうです。人生の中のほんのワン・シーン、出会いと別れ、をまるで映画の様に3分の曲に綴じ込めた名作。このアルバムは、近年でもよく演奏される代表曲がつまっている、初期の代表作<CLUBE DA ESQUINA>。叙情的な意味で、僕の大好きなアルバム。MILTONは中期以降のH.HANCOCKやW.SHORTERなどの大物jazz musicianとの共演で世界的に有名になったけれど、僕はやはり初期の頃の作品が一押し! でも、ライブで聴くと、今もやっぱ凄くいいんだよね‥。
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AMBITIOUS LOVERS さて、ブラジルと来たので、ブラジルに縁の深いこの人、ARTO LINDSAYの80年代後半のPETER SCHERERとの双頭ユニット。ARTOの哲学的noise
guitarとP.SCHERERのヨーロピアンな冷徹なsynth音、バックを務めるdr,ba,の黒人の重いtwo beat系のグルーヴ、MILTONと永年共演して来たNANA
VASCONCELOSのブラジリアンなpercussion, jazz guitarの鬼才BILL FRISELL…という、ほとんど<音楽の世界名産品>を、並べた様な贅沢でちょー粋なコラボレーション!この名義で2枚出してますが、これはファーストの<GREED>。セカンドのタイトルと合わせて、キリスト教の<七つの大罪>をモチーフにしたという、これまたかっちょいいネーム。音楽上の<粋>とはこういう事を言うのである!!!初来日ともう一度来たライブを両方、僕は見てますが、2回目の来日時のライブは最高でしたねー!! な〜〜んてかっこいい‥と、ほとんど唖然としてしまいました(笑)。ARTO
LINSAYのあのチューニングさえしてないDAN ELECTOROで奏でるnoise guitarは、もしかしたらギター表現の究極かも知れない‥。あれで完璧な自己表現をやってのけるのだから、、。
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SERGE GAINSBOURG 粋、っときたので、エスプリ上の粋な御仁と来るならやはりこのお方しかあるまい。存在自体が異質なこの人の中でも異質な作品、<histoire de melody nelson>。ロリータをネタにしたアルバム一枚分が一つの物語りで構成される演劇的、文学的な作品。歌詞を読むとウケまくっちまいます(笑)。なんて素晴らしい!谷崎の『痴人の愛』を彷佛させるその内容、少女を背にお馬さんになる部分で『ヘイ、ヘイへ、ホー』と表現しているのがなんとも‥。アルバムのクレジットには全く掲載されて無いバックのmusicianも素晴らしい好演!mixもこの当時としてはやはり異質な感じで、bassを極端に強調する事で変態なイヤらしさを滲み出しています。その背後にはJ.C.VANNIERの重厚なstringsと合唱隊のarrange…。うぅんカンペキですな…。ダンテの神曲をも彷佛させる、エロくてダンディーな文学的世界に浸るべし!